大阪歴史博物館では、平成27年9月9日(水)から10月18日(日)まで、6階特別展示室において、特別展「海峡を渡る布 ─初公開 山本發次郎染織コレクション ふたつのキセキ─」を開催します。
大航海時代、それは世界の人とモノが海でつながり、文化が巡る時代の幕開けでした。イギリス・オランダなどのヨーロッパ諸国は東インド会社を設立、香辛料・生糸(きいと)・金銀そして工芸品を求めてダイナミックな交易を展開して、アジアおよび東南アジア地域の覇権を争います。インドで作られた色鮮やかな布も、東インド会社によって海峡を渡ってゆきました。西へと渡った布はヨーロッパに至り、産業革命の引き金になったともいわれます。また、東へと渡りインドネシアやその周辺地域へともたらされた布は儀礼布(ぎれいふ)や衣服として大切に使われ、絣(かすり)や紋織(もんおり)に代表されるインドネシアの伝統的な染織文化のデザインにも影響を与えました。
このたび初公開となる山本發次郎(やまもとはつじろう・1887~1951)の染織コレクションは、日本国内に伝来するインド・東南アジア染織コレクションとしては、もっとも早い昭和戦前期に蒐集されたと考えられる作品群で、総点数300点に及ぶ膨大なコレクションです。その蒐集には、昭和10年代初頭にインドネシアに渡り、現地の陶磁器や染織品の工芸的な価値の高さにいち早く注目した画家・山尾薫明(やまおくんめい・1903~1999)が大きな役割を果たしました。インドネシアで画家として活動していた山尾は、当時すでに美術品蒐集家として知られていた山本から資金提供を受け、インドネシアで陶磁器や染織品を蒐集し戦前の日本へと持ち帰り、山本の蒐集を助けました。
本展覧会では、山本發次郎の染織品蒐集の“軌跡キセキ ”を探ります。そして山本の蒐集した膨大なコレクションの多くが昭和20年(1945)の空襲によって自宅とともに失われた中、“ 奇跡キセキ”的に罹災をまぬかれた山本の染織コレクションの全貌に迫ります。
●関連イベント
【学芸員による展示解説】
展示をご覧いただきながら、担当学芸員が代表的な展示品について解説します。
日時:9月20日(日)、10月12日(月・祝) 各回とも、午後2時から約30分間
会場:大阪歴史博物館 6階 特別展示室 交通のご案内
参加費:無料(ただし、ご入場には特別展観覧券が必要)
参加方法:当日直接会場へお越し下さい
【学芸員による見どころトーク】
日時:9月17日(木)、10月1日(木) 各回とも、午後2時~2時30分(受付:1時30分~)
会場:大阪歴史博物館 4階 第一研修室 交通のご案内
定:員60名(当日先着順)
参加費:200円(特別展の観覧券もしくは半券提示の方は無料)
参加方法:当日直接会場へお越し下さい
10月9日(金) 民族音楽演奏会「ジャワガムランの夕べ-煌めく青銅の響き-」
9月13日(日)・26日(土) 「海峡を渡る布―初公開 山本發次郎染織コレクション ふたつのキセキ―」記念講演会
※ただし、9月22日(火・休)は開館、9月24日(木)は休館
開館時間:午前9時30分から午後5時まで(会期中の金曜日は午後8時まで)
(ただし、入館は閉館の30分前まで)
観覧料:
大人 特別展 1,000円(900円)、常設展+特別展 1,500円(1,440円)
高校生・大学生 特別展 800円(720円)、常設展+特別展 1,120円(1,080円)
※( )内は20名以上の団体割引料金。
※中学生以下、障がい者手帳等をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料。
問合せ先:大阪歴史博物館(TEL 06-6946-5728)