平成30年(2018)は、出雲の大名・松平不昧(1751~1818)の没後200年にあたります。不昧は江戸時代後期に茶道具の価値観へ大きなインパクトを与えた人物であり、近代数寄者達の憧れの茶人でもありました。
明治維新後に大名や有力町人に代わって茶の湯の担い手となった近代数寄者は、家元制と流儀にとらわれない新しい茶の湯を生み出しました。これはそれまで茶の湯の中の一要素でしかなかった「道具」に注目し、名物道具を「美術」という観点から再編成するという大胆な改革を行い創出されたものです。
このような数寄者達にとって、独自の研究を基に「名物」の基準を示した不昧は重要な存在であり、この価値観は現在も受け継がれています。
また、松平家の道具帖である『雲州蔵帳』に記された不昧が収集した茶道具は、「雲州名物」とも称されて羨望の的となるなど、コレクターとしても象徴的な茶人でした。さらに不昧は塗師・原羊遊斎などに自らの美意識を反映させた好み物を製作させている事でも知られ、それらの洗練された姿から不昧のデザイン(好み)がうかがえます。不昧が所持した道具や好み物は、近代の代表的数寄者である益田鈍翁や平瀬露香、藤田傳三郎なども所有しました。湯木貞一も不昧の茶会記をきっかけに己の料理への方向性が定まったということから、ゆかりの道具を多く収集しています。
大名茶人として多くの功績を残し、近代の茶の湯に影響を与えた不昧が没して200年の今年、近代数寄者が所有した不昧の茶道具と不昧の書や好み物を中心に、前後期あわせて約50点をご覧いただきます。近代数寄者達の愛した不昧の茶をお楽しみください。
前期:2018/09/01~2018/10/21
後期:2018/10/24~2018/12/09
●Osaka Metro(大阪メトロ)堺筋線・京阪電車「北浜」駅
休館日:毎週月曜日、9月18日(火)、9月25日(火)、10月9日(火)10月23日(火)[但し9月17日(月・祝)、9月24日(月・振替休)、10月8日(月・祝)は開館]
夜間開館日:9月7日(金)、10月5日(金)、11月2日(金)、12月7日(金)は午後7時まで開館(入館は午後6時30分まで)
入館料:一般700円/大学生400円/高校生300円
(一般のみ、20名以上の団体は100円引き)
問合せ先:TEL06-6203-0188、FAX06-6203-1080