史跡・重要文化財指定60周年記念　特別展　大阪城はこの姿―戦災からの復興、整備、そして未来へ―

大阪城域一帯は昭和28年3月31日、文化財保護法に定められた「史跡」に指定され、2年後の昭和30年には「特別史跡」に格上げされました。城 内に残る13の古建造物は昭和28年6月13日、同じく文化財保護法の定める「重要文化財」に指定されました。昭和28年は、大阪城が国から文化財として 認められた最初の年であり、今年はその指定から60周年を迎えます。

大阪城は昭和20年、第2次大戦の空襲により甚大な被害をこうむりま した。昭和6年復興の天守閣は幸い焼失をまぬがれ、同24年に一般公開が再開されましたが、焼け残った古建造物は荒れ放題、崩れた石垣はほったらかし、と いう状態がその後も続きました。この荒廃を何とか食い止めようという機運がようやく盛り上がり、最初の応急修理がほどこされたのも昭和28年です。つまり 大阪城にとってこの年は、単に国の指定を受けたというだけでなく、戦後の荒廃から立ち直る第一歩を踏み出した記念すべき年でもあったのです。それから60 年、戦災の爪跡はすっかり過去のものとなり、大阪城は緑豊かな史跡公園として多くの市民・観光客に愛されています。

本特別展では60年前 の大阪城と、60年間の復興・整備事業および史跡公園化に着目し、関連する写真や資料などによってそのときどきの大阪城の姿をご覧いただきます。大阪城の 長い歴史から見ればごく最近の出来事ではありますが、この機会に、現在に直接つながる大阪城の歴史を見直し、これからの大阪城のあるべき姿についても考え をめぐらせていただければと思います。