江戸時代中期の大坂や京都では、個性的な作風で人気を得た絵師が活躍しました。近年人気の高い伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)や曾我蕭白(そがしょうはく)はよく知られていますが、同時代の大坂で活動した絵師はあまり知られているとはいえません。なかでも、墨江武禅(すみのえぶぜん)や林閬苑(はやしろうえん)は、当時の流行であった中国絵師を学んだ「唐絵師」として独自の表現を追求し、大いに人気がありました。
墨江武禅(1734~1807)は船頭でしたが、絵師として名が上がり、盆景や金工作品の制作もする器用な人でした。彼は、大坂の浮世絵師月岡雪鼎(つきおかせってい)に学ぶ一方、中国絵画にも関心を寄せます。光を意識した幻想的な作品やオランダ絵画の写しなど、一風変わった作品を残しています。
林閬苑(生没年不詳、1770~1780年頃に活動)は、文人画の大成者として知られる池大雅の弟子福原五岳(ふくはらごがく)について絵を学び、また多くの中国絵画を見て創作に役立てました。彼は華麗な花鳥画をいくつも残していますが、荒々しく奇怪な表現の水墨画もあり、また風刺のきいた風俗画も残しています。実に多様な作品を残した絵師ですが、その生涯はよく分かっていない謎の絵師です。
本展示会では、優れた手腕をもって活躍した武禅と閬苑の二人に焦点を当て、彼らの画業を紹介するとともに、同時代の大坂や京都で活躍した個性派の絵師たちを紹介します。
追加情報
問合せ先:大阪歴史博物館 (Tel.06-6946-5728)
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所在地
大阪歴史博物館(大阪市中央区大手前4-1-32)
交通機関
地下鉄谷町線・中央線「谷町四丁目駅」