我が国近代化の原動力となった繊維産業は、中核となった大阪企業の活躍により大きく成長し、ここ船場界隈は東洋のマンチェスターと称され、その後の大阪の発展を支えてきました。
先の大戦による大きな試練を乗り超え、再び繁栄を取り戻した1961年、業界大手の東洋紡がこの場所に「東洋紡本町ビル」を建設した際、屋上を地域の憩いの場として開放するため、そこに「フェニックス・モザイク」のモチーフで繊維産業の街大阪・船場のシンボルとして制作したのが「糸車の幻想」です。
日本の“ガウディ”と呼ばれた建築家の今井兼次がデザイン・制作指導にあたり、捨てられる運命の陶磁器の破片をはじめ多くの小さな素材を結集、それらをモザイクに組立て、巨大な糸車が完成。大阪の「再生~永続の力強さ」への想いを込めたまさに不死鳥(フェニックス)のイメージどおりのレリーフとなりました。
このたび、当地に大阪商工信用金庫本店ビルを建設するにあたり、大阪の歴史的資産を保存し文化的景観を維持発展させたいとの思いからこのレリーフを再生保存いたしました。
フェニックス・モザイク「糸車の幻想」
投稿日:

所在地
大阪市中央区本町2-2-8
交通機関
地下鉄堺筋線・中央線「堺筋本町駅」15番出入口
同じエリアにこんなスポットがあります!
-
御堂筋彫刻ストリート / 髪をとく娘:W-12
太い縄のような豊かな髪、豊満な肉体が目をひく大胆な作品であり、原始彫刻とキュビスムが融合して発展したものである。空を見上げてゆったりと髪をとく姿は、穏やかで温かな印象を受け、バルタサール・ロボの理想 …
-
御堂筋彫刻ストリート / 若い女:E-9
はつらつとした、若く健康的な肢体から、初々しさとほのかな色香が感じられる。Tシャツをお腹のあたりで持っているポーズがユニークで、オーソドックスなモチーフが魅力的なものになっている。桜井祐一の長年にわ …
-
船場ビルディング
●モダン長屋 大正14年(一九二五)の完成当初は1階と3階が住居、2階と4階が貸事務所だった。耐震耐火鉄筋コンクリート5階建てでエレベーターがあり、オフィスと住宅をあわせもつユニークで革新的なビルと …
-
大阪ガスビルディング
●御堂筋とともに誕生したガスビル 巨大な客船を思わせる白亜のビルが御堂筋に面して建つ。設計者は安井武雄(やすいたけお)、昭和8年(1933)に竣工。地上8階建て、地下2階。外壁は1・2階を石材で黒く …
-
生駒ビルヂング
●未来に時を刻む 昭和5年(一九三〇)の完成当初は1階から4階までが陳列室や事務所、5階は畳敷きの大広間で洗面室などがあり、10代の丁稚が住み込んでいたという。デモクラシーの花咲く大正モダンの時代か …