●浪速の氏神
創建は古く、800年代後半。大阪湾が深く入りこんで、葦が繁る円形の入り江に祀られた円(つぶら)神社に始まる。文禄3年(1594)、円江(つぶらえ・現在の西区靭)から現在地に鎮座し、江戸時代に御霊神社と改称した。船場言葉の御寮人「ごりょんさん」(商家の若奥様)と語呂が似ているところから、「御霊さん」や「御霊はん」と親しみをもって呼ばれてきた。船場という土地柄、商売の縁を結ぶ「縁結びの神様」としての信仰も篤い。
●人形浄瑠璃が華やかな時代
18世紀後半になり、竹本・豊竹座が閉じてしまったあとは人形浄瑠璃の人気は衰えていたが、文化8年(1811)に植村文楽軒(うえむらぶんらくけん)が難波神社境内の稲荷社に進出。のちに文楽座と名乗るようになり、明治17年(1884)に御霊神社に移った。また同年、別の一派である彦六座も難波神社に開場。2座が競ったことで、人形浄瑠璃は再び人気を博した。文楽座は640人を収容する日本で初めての文楽のための常設小屋であり、今の国立文楽劇場のもとになった。彦六座は明治26年(1893)に解散するが、御霊文楽座は唯一の人形浄瑠璃専門の劇場となったことから、人形浄瑠璃の代表的存在となる。大正15年(1926)に御霊文楽座は焼失、四ツ橋に移転することになる。御霊文楽は文楽200年の歴史の中でも最も華やかな時代を築き、大阪人の社交や商談の場として大いに栄えた。今も境内の片隅に「御霊文楽座跡」の石碑がある。
●ビルの谷間のオアシス
文楽座の跡に儀式殿がつくられており、一般の人々が文楽・落語・日本舞踊などの発表の場として利用できるように提供し、大阪の伝統文化の向上につなげている。夏祭、初詣などはたいへんな賑わい。春は桜、秋はもみじといった四季折々の景色も楽しめる。
●定休日 なし
●駐車場有り
●問い合わせ先 TEL:06-6231-5041 FAX:06-6231-6257