フェニックス・モザイク「糸車の幻想」

投稿日:

フェニックス・モザイク「糸車の幻想」

 我が国近代化の原動力となった繊維産業は、中核となった大阪企業の活躍により大きく成長し、ここ船場界隈は東洋のマンチェスターと称され、その後の大阪の発展を支えてきました。
 先の大戦による大きな試練を乗り超え、再び繁栄を取り戻した1961年、業界大手の東洋紡がこの場所に「東洋紡本町ビル」を建設した際、屋上を地域の憩いの場として開放するため、そこに「フェニックス・モザイク」のモチーフで繊維産業の街大阪・船場のシンボルとして制作したのが「糸車の幻想」です。
 日本の“ガウディ”と呼ばれた建築家の今井兼次がデザイン・制作指導にあたり、捨てられる運命の陶磁器の破片をはじめ多くの小さな素材を結集、それらをモザイクに組立て、巨大な糸車が完成。大阪の「再生~永続の力強さ」への想いを込めたまさに不死鳥(フェニックス)のイメージどおりのレリーフとなりました。
 このたび、当地に大阪商工信用金庫本店ビルを建設するにあたり、大阪の歴史的資産を保存し文化的景観を維持発展させたいとの思いからこのレリーフを再生保存いたしました。

現在地からルート検索
所在地
大阪市中央区本町2-2-8
交通機関
地下鉄堺筋線・中央線「堺筋本町駅」15番出入口
この記事は役に立ちましたか?
役に立った 役に立たなかった
7 人中 7 人がこの 記事 は役に立ったと言っています。
同じエリアにこんなスポットがあります!
佐久良東雄先生 寄寓奉仕の処

●勤王派四天王に数えられた幕末の志士  佐久良東雄は文化7年(一八一〇)、常陸国(現・茨城県)に生まれた。弘化4年(一八四七)、坐摩(いかすり)神社の神官・渡辺資政(わたなべすけまさ)との縁で来阪、境 …

腕を上げる大きな女/アントワーヌ・ブールデル
御堂筋彫刻ストリート / 腕を上げる大きな女:E-10

 丸太のような太い腕、球形に近い小さな頭部、円筒形のしっかりした首、そしてギリシャ式の壷形の堂々たる体躯、それらが絶妙のバランスの中で一体となって、この作品を構成する。腕を頭の上で組む以外は、身体にほ …

ヴェールを持つヴィーナス/オーギュスト・ルノワール
御堂筋彫刻ストリート / ヴェールを持つヴィーナス:E-14

 印象派の巨匠オーギュスト・ルノワールの豊満な裸婦を描いた晩年の絵画からそのまま抜け出してきたような作品である。1912年に疾病してからは、絵筆を持つのも不自由となり、彼のデッサンを忠実に三次元に置換 …

船場ビルディング

●モダン長屋  大正14年(一九二五)の完成当初は1階と3階が住居、2階と4階が貸事務所だった。耐震耐火鉄筋コンクリート5階建てでエレベーターがあり、オフィスと住宅をあわせもつユニークで革新的なビルと …

女のトルソ/オシップ・ザツキン
御堂筋彫刻ストリート / 女のトルソ:W-9

 力強く簡潔な線とヴォリューム感。この「女のトルソ」は、平面の集まりとして再構築されたキュビスムの特徴を示しつつも、厳格なフォルムから解放された自由な表現がみられる。抽象と人間の内面表現を融合させたザ …