●ピアノの音色が響く近代建築
日本最古の楽器店といわれている会社の本社社屋として「三木楽器開成館」は、現在も活躍している。
創業100周年にあたる大正14年(一九二五)、増田建築事務所の設計で、鴻池組によって施工された。ショーウィンドウが特徴の鉄筋コンクリート造、地上4階、地下1階建ての建物は、大正期の都市部に建設された商業ビルの代表作だ。
外壁は茶褐色のレンガ、裾部を花崗岩の貼り付けとし、2・3階の窓の間には植物のレリーフを加えている。縦の線を強調したスタイルは、ドイツのピアノ製作会社の本社建物の外観を意識したといわれている。
●室内にも古きよき時代の佇まい
中央玄関のステンドグラスも美しい。店内は改装されているが、1階ピアノ売場の天井や階段は建設当時のまま。音楽書売場の大きな棚や鳥の形をしたダウンライトもそのまま残されていて、室内にもクラシックな雰囲気が漂う。
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