●法善寺門前に浮世絵の館
歌舞伎をはじめ、浄瑠璃、からくりなど、さまざまな芝居が興行され、道頓堀五座が立ち並んでいたミナミの地に、平成13年(二〇〇一)4月、上方浮世絵館が開館した。中座跡地の南西である。上方浮世絵を専門に展示する美術館としては、世界で唯一である。
作品のすべてが館長・高野征子(たかのせいこ)氏の収集したものからなる私設美術館で、上方浮世絵は世界にもOsaka Printsとして知られ、江戸時代後半から明治時代初期(一八〇〇年代)に大阪でつくられたものだ。
3カ月ごとにテーマを替えて、常時30点の作品が展示されている。
●人気の歌舞伎役者が浮世絵に
上方浮世絵とは、美人画や風景画が少なく、ほとんどが役者絵であるのが特徴。
役者の個性をありのままに描く人間味豊かな表現は、江戸のものと違って、リアルでわかりやすく見分けがつきやすい。
また、その当時活躍した3代目・中村歌右衛門(なかむらうたえもん)を中心として、歌舞伎役者を描いた上方浮世絵は、色ごとに版を彫り、摺り重ねられた木版画の繊細な技術に驚かされる。
●「蔵」のイメージのミュージアム
上方浮世絵館は昔の「蔵」のイメージでつくられており、フレスコ画の作家によって設計、デザインされたこだわりの建築である。内装も廃材などをリサイクルして取り入れ、イメージにあわせている。
【浮世絵の摺り体験】
ポストカードサイズの版木での4色体験コースと、ベテラン摺師に直接指導を受ける本格浮世絵制作体験コースがあり、本格コースでは、実際の浮世絵サイズの版木に挑戦できる。(要予約)
●みんなで浮世絵に挑戦
●近鉄線 近鉄難波駅
●南海電鉄 なんば駅
●開館時間:9時〜18時(入館は17時30分まで)
●入場料:大人500円 小・中学生300円