大阪市立愛珠幼稚園の創立は明治13年(1880)、創設者は、船場北部(現中央区平野町以北)の連合町会です。
園舎は、最初、現在の北浜4丁目(大阪倶楽部北側)に建てられましたが、明治22年には連合町会から大阪市に移管され、以後、市立幼稚園となりました。
現在の敷地に移転したのは明治34年(1901)で、当時の主席保母であった伏見柳らの原案をもとに設計がなされ、同33年4月に着工、翌3月に竣工しました。
全体の構造は、敷地のまわりに瓦葺きの高塀を巡らせ、南正面には塀重門という格式の高い形式の門を置き、その北側には遊戯室の大空間を覆う大屋根が続く、格調高い外観です。
遊戯室の天井は技巧が凝らされた格天井になっており、中央には古風なシャンデリアを下げています。内部の構成は、保育者の基本設計ならではの特徴が随所にみられます。遊戯室は周囲の壁面の上部に窓をめぐらせ、採光と通風を良くしています。床下にはおが屑を入れ、冷気と湿気が伝わってくるのを防ぐようにしています。園庭には土を盛り、廊下と同じ高さにし、出入りの際に園児がケガをしないように配慮されています。便所は保育棟の中にありますが、屋根と壁の間に間隔をあけ、換気ができるような設計となっています。通常の学校建築ではみられない御殿風といわれる建築は極めて稀であり、その堂々たる姿は、創設者である船場の人々の子弟教育にかける心意気を伝えるものとして、高い価値を有します。
愛珠幼稚園は、現在も大阪市立幼稚園として運営されているため、日常的な公開はできません。ぜひ、この機会にお越しください。
愛珠幼稚園(あいしゅようちえん)園舎の公開・解説を行います。
見学を希望される方は、当日、直接会場へお越しください。
また、園舎内での写真撮影はご遠慮ください。
※事前の申し込みは必要ありません。
定員:
特にありません。
ただし、一度に多数の方の入場はできませんので、入場整理をすることがあります。
参加費用:
無料