船場ビルディング

せんばびるでぃんぐ

次の言語でも読めます: English

投稿日:2017/03/10 更新日:

船場ビルディング

●モダン長屋
 大正14年(一九二五)の完成当初は1階と3階が住居、2階と4階が貸事務所だった。耐震耐火鉄筋コンクリート5階建てでエレベーターがあり、オフィスと住宅をあわせもつユニークで革新的なビルとして注目を集めた。
 1階の各部屋は4畳半・6畳の和室にささやかな床の間がつき、大阪では初の水洗トイレや壁掛け式暖房器など和洋折衷。当時としては超モダン。住人は福井・横浜・東京・足利などが出身の織物問屋の人たちだった。

●機能性の中の芸術性
 外観はタイル張りでオフィスビルのデザインだが、船場という場所がら、荷馬車などを引き込むのに便利な機能性を備えていた。内部中央に中庭を設けて吹き抜けとし、その周囲各階に回廊を巡らした、特色ある造りとなっている。階段の手すりの支柱にもさりげないデザインが彫られ、大学の先生も唸るほどの芸術性をもっている。一部の部屋にはステンドグラスの窓もある。

●秘密の隠れ家にいかが
 外の賑やかさが嘘のように、ビル内は静かで落ち着いた雰囲気である。木レンガ・タイル壁・木製の窓など、完成当時のよさを残しつつ、きれいに手入れされている。
 現在は全室貸事務所。

■もっと深く知ろう!
【荷馬車が入った中庭】
 内部中央に細長いパティオ風のしゃれた中庭があるが、もともとは荷馬車が荷物の上げ下ろしに入る庭だった。

荷馬車が入っていた中庭
現在地からルート検索
所在地
大阪市中央区淡路町2-5-8
交通機関
●地下鉄堺筋線「北浜駅」
●京阪電鉄「北浜駅」
施設情報
開館時間:
平日 7時~19時30分
土曜日 7時~17時30分
中庭のみ見学可(事前許可要)
日・祝日は不可
この記事は役に立ちましたか?
役に立った 役に立たなかった
3 人中 3 人がこの 記事 は役に立ったと言っています。
同じエリアにこんなスポットがあります!
農人橋

●船場に田畑が残っていた時代を物語る 農民が耕作のために通った橋だったことから、農人橋という名がついた。江戸時代、農人橋は大坂城への直接の連絡口だったため、幕府が直轄管理する公儀橋となった。なにわ名橋 …

アコーディオン弾き/オシップ・ザツキン
御堂筋彫刻ストリート / アコーディオン弾き:W-11

 オシップ・ザツキンは、ロシア出身で主にフランスで活躍したキュビスムの彫刻家であり、アフリカなどの土着美術に影響を受けた。この作品は、1924年に制作された同名の彫刻を1962年にリメイクしたものであ …

梅川・忠兵衛 ゆかりの淡路町

大当たり浄瑠璃は実話だった近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)の傑作の一つ、『冥途(めいど)の飛脚』は、実話を題材に書かれたもの。 遊女梅川に入れあげる忠兵衛が養子に入ったのが、この淡路町にあった飛脚 …

綿業会館

●堂々とした古典的な装飾  中央公会堂から南に延びる、船場の背骨といわれた栴檀木筋(せんだんのきすじ)。今は三休橋筋と呼ばれるその通りに面して、ルネサンス調の建物、綿業会館がある。  昭和3年(192 …

道東の四季‐春/舟越保武
御堂筋彫刻ストリート / 道東の四季‐春:E-12

 北海道釧路市にある弊舞橋に設置されている4作家競作による「道東の四季」のうちの1点「春」のエスキースである。実際に釧路に設置されている像は薄衣をまとっているが、この作品は、裸体である。舟越保武は、清 …