●能好きの太閤秀吉
とにかく能楽に熱中していた豊臣秀吉(とよとみひでよし)。自分を主人公にした「明智討」という能をつくらせている。会う人ごとに「宮廷でお見せする」と言って家臣にたしなめられたという逸話もあるほど、朝から日暮れまで大坂城で能を演じていた。鼓方の大倉流の家元には「シテ(主役)・太閤」と記された演目が残っている。大阪城に近い上町台地で能が演じられることは歴史的にも意味深いことで、舞台の橋掛かりの壁には実物大の大阪城の石垣が描かれている。
●能楽堂の舞台裏
大槻能楽堂では観劇後、バックステージツアーを催している。能舞台の構成や仕組みの説明から始まり、音響をよくするため舞台下に規則正しく配置された大きな甕(かめ)も見ることができる。めったに足を踏み入れることができない舞台裏や楽屋の一種独特の厳粛なムードが体感できる。
●子どもと外国人とデジタル
世界遺産になった能をもっと広く知ってもらうため、さまざまな取り組みを進めている。「こどもとたのしむ能狂言」では解説付きで能を鑑賞、狂言や謡にチャレンジできる。鼓を鳴らしたり、装束を身につけたりできる、ワークショップもある。また、世界中の人々が鑑賞できるように、能のデジタル・アーカイブス化を進めている。
●もっと深く知ろう!
【足拍子の音が響くのは?】
舞台の下には規則正しく大きな甕が埋め込まれている。これは舞台下の空間を広げ、舞台の足音の響きをよくするという音響効果のためのものである。
●高さ1m、直径1mの甕(かめ)
谷町線/長堀鶴見緑地線 谷町六丁目駅